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がんを治療しながら仕事が両立できる社会に。ライフネット生命が運営する「がんアライ部」の活動とは?

がん治療と生活を両立できる時代。働く世代にとっても、がんは無関係の病気ではありません。

この記事では、ライフネット生命が新たに導入した、がん治療と仕事の両立をサポートする制度や、会社として取り組んでいる「がんアライ部」の活動についてご紹介します。


がんと診断されても仕事を続ける人は増えている


がん罹患者の3人に1人は、20代~60代の現役世代であり、働き盛りの人にとって他人事ではない病気です。
国内のがんの患者数は増加傾向にあります。しかし、昨今では治療法の開発が進んでいることもあって、「長く付き合う病気」になり始めています。

厚生労働省の令和4年国民生活基礎調査に基づく推計によれば、仕事をしながら通院しているがん患者数は49.9万人(*)というデータもあります。

*出典:厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」より


治療と仕事の両立に悩んでいる人がいるのも事実


がんを治療しながら働く人が増えているものの、中には職場のがん患者に対する理解が十分ではなく、退職を余儀なくされるケースもあるようです。がんにかかった場合、「誰に相談すればよいのか分からない」「体調や治療に応じた柔軟な勤務ができない」「職場の理解を得られず、治療をしながら仕事をすることが難しい」など、さまざまな問題に直面することがあります。
 
それに加えて「周囲に心配をかけたくない」「偏見を持たれたくない」といった理由で職場に報告・相談しない人もいるようです
 
がんに罹患した従業員が安心して働くためには、休暇制度や勤務制度などの整備をはじめ、制度だけではカバーしきれないきめ細かな配慮が不可欠です。
 


がん罹患者の声をきっかけにライフネット生命に新たな人事制度が誕生


ライフネット生命でも、がん保険「ダブルエール」を開発する際に、がんに罹患された人へアンケートを行った中で「(職場に)こういう制度があったら良かったのに」という声を聞く機会がありました。当社でもがん治療と就業の両立をサポートする制度を導入する必要性を感じ、生まれたのが、「ナイチンゲールファンド」です。
 
ライフネット生命には、社員本人の病気療養や家族・パートナーなどの看護が必要なときに使える「ナイチンゲール休暇」があります。
ご自身や家族・パートナーなどが病気にならず会社全体で未使用となったナイチンゲール休暇を会社側が2年分積み立てておき、必要になった社員に付与できる仕組み「ナイチンゲールファンド」をつくりました(2024年3月現在)。がんなどの大きな病気に社員が罹患したときは、その積み立てた分の休暇を活用できます。


ライフネット生命はがんと就労問題に取り組む民間プロジェクト「がんアライ部」の事務局を務めています


ライフネット生命は、がんに罹患した従業員が治療をしながら、いきいきと働ける環境をつくる「がんアライ部」の事務局としても活動しています。

「がんアライ部」は7人の発起人を中心に2017年に発足された民間プロジェクトです。
 
がん患者の味方である「ally」、がんとともに生きる「alive」、プロジェクトの名称である「アライ部」という3つの意味が込められています。

がんの治療を受けながら働いている人が増えている中で、がんに罹患した従業員に対する職場の理解・支援は必ずしも進んでいるとはいえないのが現状です。
 
「がんアライ部」では、がん罹患者の就業に関わる支援やサポートといった情報共有を目的とした勉強会、Facebookやウェブサイトから「がん治療と就労」についての情報を発信、がんと就労問題に取り組む企業を表彰する「がんアライアワード」を実施しています。現在、「がんアライ部」は「がんアライアワード」を主な活動としており、毎年多くの企業からの応募があります。


参加企業は45社!「がんアライアワード2023」


「がんアライ部」では2023年12月12日、「がんアライアワード 2023」を発表しました。
 
「がんアライアワード」は、参加する企業ががん罹患者の味方「アライ(ally)」であることに加え、「気がねなく休暇を取れる風土にある」「健康面の悩みを気軽に相談できる環境である」など、がんとともに働きやすい企業であることを宣言することで、さまざまな取り組み事例を社会に知ってもらうことを目的としています。
 
2023年度は、「ダイヤモンド」が2社、「ゴールド」が20社、「ゴールド&ベストプラクティス」が1社、「シルバー」が19社、「ブロンズ」が3社の計45社となりました。なお、受賞企業の取り組み内容については、がんアライ部ウェブサイトよりご確認いただけます。

がんアライアワード 2023のロゴ

「もっともっと世の中にがんと就労の両立を支援する企業を増やしたい」という思いから始めたこのアワードは、2018年から今回で6回目を迎えました。第1回目の20社と比べて参加企業が増えています。
 
ライフネット生命は、今後もがんを治療しながら働く人を応援し、がんと共に生きる社会を実現できるきっかけづくりを行っていきます。


もし従業員ががんと診断されたら


もしもある日、従業員ががんと診断された場合、会社や同僚はどのように対応すればよいのでしょうか。

まずは東京都保健医療局「がんになった従業員の治療と仕事の両立支援サポートブック」やがん情報サービス「がんと仕事」のページを参考にするのがおすすめです。

診断後や復職後の働き方がイメージできると、ご自身ががんと診断された場合に少しでも安心して働くことができるかもしれません。

東京都保健医療局「がんになった従業員の治療と仕事の両立支援サポートブック」によると、従業員ががんと診断されたときに備えて、次のような対応が求められると紹介されています。

最後に、がん罹患者が働きやすい職場にするために、企業が取り組んでおきたい対応を紹介します。

1. 企業の基本方針を説明
・お見舞いの言葉とともに、仕事を辞める必要はないことを伝える
・両立支援に関する企業がサポートできる内容を伝え、従業員自身の意向を確認する
・有給休暇の残り日数や利用できる休暇制度についての情報を案内する
2. 支援のために必要な情報を収集
・従業員自身に聞く情報、主治医からの医学見地に立った情報、産業医からの就業可否、就業上の措置や配慮に関する情報の収集
3.コミュニケーションを密にする
・がん罹患者の仕事に対する考え方は人それぞれ。「仕事を続けるのか」「仕事を続ける場合、周囲に伝えるべきか」「職場でどのような配慮ができるか」など、従業員の意向や個人情報をどこまで開示するか確認する必要があります。
4. 上司や同僚への配慮
・がんに疾患した従業員が治療や体調不良で休む際には周囲の従業員の勤務体制や状態にも配慮する必要がある
・上司や同僚に対しても業務が負担にならないようにするなど、本人だけでなく周囲の人への配慮も忘れない

出典:東京都保健医療局「がんになった従業員の治療と仕事の両立支援サポートブック」

がんアライ部のウェブサイトには中小企業に向けたがんと就労の両立支援に役立つ情報が掲載されています。

・【中小企業向け】社員が「がんに罹患」した場合の主治医とのやり取りのポイント/産業医科大学・江口尚先生 – がんアライ部

・【中小企業向け】社員が「がんに罹患」した場合の基本の対応/社労士・近藤明美先生 - がんアライ部

また、がんアライアワードの受賞企業の取り組み内容がご覧いただけます。これらのページも、ぜひご覧ください。

 文/ライフネット生命公式note編集部