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経済アナリスト・森永康平さんとのスペシャル対談! お金と経済、資産運用の基本──第50回ふれあいフェア

去る7月20日、昼間の暑さの余韻が残る中、「第50回ふれあいフェア」を開催し、約30名のご契約者さまにご来場いただきました。和やかな雰囲気に包まれた会場で、「今からでも間に合う、あなたと家族を守るお金の知識」をテーマに、経済アナリスト・森永康平(もりなが・こうへい)さんと代表取締役社長・森によるスペシャル対談を実施しました。

※本記事は、お金に関する知識の提供を目的としています。特定の商品の売買の勧誘を目的としたものではありません。金融商品を購入する際は、商品の特性等を十分理解したうえで、ご自身の責任と判断で行ってください。
※本記事の投資に関する情報は、公開情報などから引用したものであり、情報の正確性などについて保証するものではありません。


学者ですら答えられない問い、「お金って何?」


株式会社マネネCEO・経済アナリストの森永康平さんの写真

<森永康平さんプロフィール>
株式会社マネネCEO・経済アナリスト。同じく経済アナリストの父親の影響で、中学生の頃から経済に興味を持ち勉強を始める。証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとしてリサーチ業務に従事し、アジア各国で法人や新規事業の立ち上げに携わる。2018年に独立し金融教育ベンチャーの「株式会社マネネ」を設立。現在は執筆・講演等を行いながら、国内外のベンチャー企業の経営に参画している。

対談は、社長の森から森永さんへ、お金に関する根本の質問を投げかけることから始まりました。

森:今日は、普段はあまり考えないようなお金の基本的なことについて、金融教育と経済の専門家である森永さんにお話を伺いたいと思います。そもそも、「お金とはいったい何か」と問われたら、なんと答えたらよいのでしょうか。
 
森永:実は、それはとても難しい問いなんです。経済学には「貨幣論」という考え方があるのですが、日本の経済学者や多くの政治家が、この「貨幣論」を間違えて認識しているのではないかと感じているんです。
 
「そんなことあるの?」と思われるかもしれませんが、例えば「なぜ、1万円札には1万円の価値があるの?」と経済学者に聞くと、なかなか答えられないんですよ。「お金」が何なのか、よくわかっていないともいえるでしょう。
私は自分の子どもに金融教育をするとき、まさにこの「お金って何?」という問いを投げかけています。
 
森:森永さんのような経済のプロが、お子さんにどのような金融教育をされているのか、とても気になります。
 
森永:教育といいましたが、むしろ、私の方が子どもから答えをもらうこともありますね。子どもに「お金って何だと思う?」と聞くと、「ありがとうっていう気持ちのことなんじゃない?」と答えたんです。実はこの考え方が、貨幣論の考え方にマッチしているんですよ。

つまり『私たちが働いて何かを生み出す、その対価としてお金がある』という本質を、大人たちは忘れてしまっているんです。

ライフネット生命代表取締役社長・森亮介の写真
ライフネット生命代表取締役社長・森亮介


「インフレ」や「デフレ」といわれるときに何が起きているのか


森:確かに、その本質は忘れてしまいがちですね。最近はインフレや老後資金などの話題で、お金のことを考えることが多くなりました。ニュースでよく出てくる「インフレ」「デフレ」という言葉について、いま一度解説していただけますか。
 
森永:簡単にいうと、インフレは継続的に物価が上昇することを意味します。現在(2023年7月)の日本ではインフレを感じる方も多いでしょう。デフレは反対に、物価が継続的に下がるという現象です。見方を変えれば、お金の価値が上がるともいえます。学生に講義をするとき、「インフレとデフレのどっちが良いと思う?」と聞くと、学生の多くは「物価が安い方が良いから、デフレが良い」と言います。ただ、デフレの場合、物価が下がる以上に給料も下がってしまって、実質的にはものの値段が上がるのと同じことが起こってしまうんです。だから、経済の専門家たちは、口をそろえてデフレを脱却しようと言うんですね。
 
森:一方で、インフレが起きると、今度は「インフレも良くない」という論調もあります。
 
森永:インフレには、実は「悪いインフレ」「良いインフレ」の2種類があるんです。前者は、コストが価格を上げてしまうパターン。例えば原価80円に利益20円を乗せて100円で売っているものが、コストが上がったことで原価80円が90円になってしまったとします。そうすると、90円+20円で価格が110円になりますよね。会社側の利益は20円のまま変わらない。これが悪いインフレです。今まさに起きていることなんです。

反対に良いインフレというのは、需要が価格を上げるパターン。100円のものが大量に売れたら、売値を110円に上げても買ってくれる人がいるだろうと考えて、利益を20円から30円に上げることができる。経済の専門家たちは、
この良いインフレを目指そうと提言している人もいます。

原価80円で利益20円、売値100円のものがあったと仮定した場合、
悪いインフレでは原価が90円に上がり、利益は20円で据え置きで売値110円。
良いインフレは同じ売値110円でも、原価は80円で据え置き、利益が30円に上がる。
原価は据え置き、利益が上がるのが「良いインフレ」とされる

森:今、押さえておきたい重要な違いですね。最近は賃上げを求める声も高まっていて、一部企業ではその声に応じる姿勢も見られます。賃上げが進んでいくと、良いインフレにもつながっていくのでしょうか。
 
森永:おっしゃるとおりです。2023年4月の春闘は、この30年間で一番高い賃上げ率となりましたが、良いインフレにつなげるためには、来年も再来年も同じ水準で賃金が上がっていかないといけないんです。物価も給料も上がる状況であれば、「来年は物価が高くなってしまうから、今のうちに買っておこう」と消費が前倒しされるので、景気が良くなります。逆にデフレだと「来年まで待てばもっと物価が安くなるだろう」と、誰も買わなくなってしまう。そうするとどんどん値下げして、経済が冷え込んでしまいます。給料も物価も上がる、インフレの好循環を目指していくべきだと考えています。

そのため、働く人たちだけでなく、経済全体としても、企業や政府に対して声を上げることは非常に大切なんです。


漠然としたお金の不安。その不安は一体、どこから?


森:私も森永さんと同じく子育て中で、家計や教育費、老後のことなど、将来のお金に対する漠然とした不安はなかなか尽きません。こうしたお金に対する不安と、どのように向き合っていけば良いのでしょうか。
 
森永:「将来のお金のことが不安なんです」という方には、まず、紙に現在の手取り額を書き出してもらいます。手取り額が分からない方も案外多いですね。

次に固定費を書いて引き算をしてから、変動費の平均値も引くと、毎月自分の手元に大体いくら残るのかが算出できますよね。そこから、85歳ぐらいまで生きるとして、65歳の定年まで働くと大体20年間の老後の生活が待っていることになります。現在の収入状況で老後まで手元に残せる金額をシミュレーションすると、全然お金が足りない結果になる人も出てくるんです。

シミュレーションを終えた後で「不安はどうなりましたか?」と聞くと、絶望的にお金が足りない人でも「少し不安が減りました」と仰るんです。
 
森:結果が見えた方が、かえって安心するということでしょうか。
 
森永:そうです。お金についての不安の正体は、「見えていないこと」なんですよね。現状を書き出してみて、将来のお金が足りないのであれば、「じゃあ、どうやって足りるようにすればいいのだろう」と、前向きな考え方にシフトできるんです。直視したくないかもしれませんが、冷静に書き出してみることが不安を解消する第一歩だと思います。

株式会社マネネCEO・経済アナリストの森永康平さんの写真

森:お金が足りない、あるいは老後に備えておきたい場合、資産運用という手段も候補に挙がってきますよね。最近は若い方でも資産運用をする方が増えてきた印象があります。始めるときに、重要なことはありますか。
 
森永:肝心なのは「投資をすれば必ず儲かる」という勘違いを解くことですね。「貯蓄から投資へ」というトレンドもあり、「必ず儲かる」と思っている人も多いのですが、そんなことはありません。結果的にコツコツ貯金していた方が良かった、となる可能性もありますから。
ただ、そのリスクを取る結果として、リターンが発生するかもしれないという、この不確実性に賭けるのが投資なんです。
 
森:運用するときにこのリスクをどのように捉えるかも大事ですよね。
 
森永:「リスク」はネガティブな言葉ではありますが、統計学的にはリターンと損失の幅のことを指します。「リスクが高い」という言葉には「損する可能性が比較的高い」だけでなく「リターンが大きいかもしれない」の意味も含まれるんです。
 
森:長い時間をかけて運用していく上で、リスクとどう付き合っていくかを考える必要があるんですね。

ステージ上で対談する森永康平さんとライフネット森の写真


お金に悩まされないために、お金のことを考える


森永:個人で簡単に資産運用ができる時代になりましたが、投資を始めるときは大前提として「最悪の場合、投資した金額すべてがなくなってしまってもいい」というレベルの金額感で投資額を考えてください。つまり、うまくいかなくてゼロになってしまったときに、一家離散しなければいけないようなら、それは投資に充てる金額がおかしい、ということになります。
 
森:そういう金額での投資はやめた方がいいですね。
 
森永:その上で気を付けるべきことは、投資先を一つに絞らないこと。一つの会社だけに投資していると、もしその会社に不祥事が発覚したり、期待している商品がうまくいかなかったりしたら、自分の資産もその会社と同じ運命をたどります。だから、投資の対象は分けた方が良いです。ただ、私が過去に計算したところ、投資先を5つ以上に分散すると、リスクの低減効果はそこまで高くないという結果が出たので、3〜4社くらいが理想でしょう。
 
日本企業だけに投資すると、円安になった場合に一気に損をしてしまうので、投資先の国を分けるのもおすすめです。あと、一回に全額投資するのではなく、毎月15日に少額を定期的に投資するなど、タイミングを分散することも重要ですね。

株式会社マネネCEO・経済アナリストの森永康平さんの写真

森:通貨や業種、時間などを分散していくことが重要なのですね。本日お越しになっているご契約者さまの中でも、どのように資産運用を行うか悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。保険と同じように、無理のない範囲での資産運用を検討していく必要がありそうですね。

最後に、当社のご契約者さまに向けて、今後どのようにお金を付き合っていくとよいか、アドバイスをいただけますでしょうか。
 
森永:人生の主役はみなさん自身ですから、お金や資産運用のことだけを考えて生活してほしいとは思いません。若いうちにある程度考える時間をつくっておけば、それ以降の人生はお金に悩まされなくて済むかもしれないですよ、とお伝えしたいです。お金と賢く付き合っていってほしいですね。

ライフネット生命さんはオンラインの金融機関だからこそ、この「ふれあいフェア」のように対面で意見交換できるのはとても良い機会だと思います。フィードバックをしたり意見交換したりすることで企業もどんどん強くなるので、ご契約されているみなさんにはぜひ、このような場を活用していただければと思います。
 
森:森永さん、今日は幅広いお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
 
 
今後もふれあいフェアでは、今回のようにご契約者さまと直接お話しできる機会を、定期的に設けたいと考えています。開催時にはぜひ、お気軽にご応募ください!
 
<クレジット>
取材・文/ライフネット生命公式note編集部
撮影/横田達也

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