新社会人! 後悔しない&安心してお金を使うために
社会保険労務士(社労士)でもあるファイナンシャル・プランナーの中村薫先生が教えてくれる「だれも教えてくれなかった社会保障」シリーズ。
前回のコラムで「給与」の中身についてわかったところで、後編は貯蓄の仕方について、中村先生に教えてもらいましょう!
*前回はこちら↓
後悔しない&安心してお金を使うためにやってみてほしいこと
社会人になると、大きな支出を伴う予定や夢を意識しはじめるかもしれませんね。
たとえば、学生のときよりも趣味にドーンとお金を使いたい、将来独立して新しいことを始める資金を貯めたい、結婚したい……などなど。まとまった金額を貯めておいたほうがいいのかな? と考えている人もいるのではないでしょうか。
今回はそんなあなたに、マネープランの基礎をお伝えします。ここでは「貯蓄」に限ってお話をしますね。
(1)お金を「いつ」使うかを考えて、月々の「貯蓄額」を決めておく
まずはだいたいで構わないので、お金を「いつ」「どのくらい」使うかを考えてみましょう。大切なのは、今からその目標額に向かって、毎月一定額を積み立てて貯蓄していくことです。
月々の「貯蓄額」を決めるために、目標額÷お金を使うまでの期間(月数)で計算してみましょう。(低金利が続いていますから、銀行にお金を預けても利息はほとんどつかないものとします。)
わかりやすい例で考えてみます。
となります。これで、だいたい月々の「貯蓄額」の目安がわかりますね。
(2)予定外の出費は発生するものと心得る!
自分が予定している出費や貯蓄に加えて、予定外の出費が発生する可能性もあります。
友人の結婚式に招かれ、服や交通費、お祝いなどを合わせて10万円の出費
パソコンが壊れて、買い直すのに8万円の出費
……などなど。月々の貯蓄額を決めていても、お金はなかなか貯まらなくなってしまいますね。
そのために、月々の貯蓄額に加えて、予定外の出費に備える「予備費」も合わせて貯めておきましょう。毎月数千円でもよいので準備があると、安心できますよ。
「貯蓄額」と「予備費」を合わせて、給与の手取り分から引いてみると、月々「使える額」が決まっていきますね。
社会人になって手に取る額が増えると、買えるものも増えますね。誘惑だって増えます。うっかりお金を使い切ってしまわないように、気を付けてくださいね。
(3)無理のない貯蓄額が決まったら、定期的に積み立てを
改めて計算してみると、「貯蓄額」のハードルが高くなってしまった……という人は、無理のない金額に調整をしてみましょう。
以下の3つの方法で考え直してみてください。
「目標額」の予算を減らしたり、時期を先に伸ばしたりして計画を見直す
「使える額」の中で生活できるようにする
収入を増やせるよう仕事のスキルアップ、キャリアアップを考えてみる
1~3のどの方法が自分に合いそうでしょうか。生活を変えてみたり、仕事の仕方を変えてみたりするきっかけにもなるかもしれませんね。
さて、「貯蓄額」をある程度定めたら、積み立てを始めてください。
一つの方法として、給与振込先の口座から自動的に毎月一定額を引き去り、日常的に使う口座とは別枠で貯蓄をする「定期積み立て」といった仕組みがあります。
また、勤務先に給与天引きの財形制度*があれば、そちらに一定額を積み立てるのも手堅い方法です。
注意してほしいのは、財形制度を使って貯めたお金を引き出すときは、会社に申請する必要があり、引き出しにくい点です。
*財形制度…従業員の資産形成を事業主と国が支援する制度のこと。
引き出しにくい形でお金を積み立てるのは、貯蓄をするには非常に効果的です。反面、お金が必要なときには不便なため、日常的に使う金融機関で〇万円、貯蓄用の口座で〇万円、といったように、口座を分けると良いでしょう。
働くことがスタートする社会人の生活は、世界が逆転するようなとても大きな変化です。
働いて稼いだお金のことで、「大丈夫かなぁ」とか「こんなに使っちゃダメかもなぁ」といった不安や罪悪感が生まれるのは、少しもったいない気がしませんか?
お金について頭の整理をしたいときは、ファイナンシャル・プランナー(FP)に相談してみてくださいね。すぐに全部ひとりでできるようになる必要はありません。
人生において、みなさんがやりたいことを実現するためのお手伝いをするのが、私たちFPの仕事です。困ったときにはお声掛けくださいね。
<クレジット>
●なごみFP・社労士事務所 中村薫