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定期医療保険を徹底解説!誰のための医療保険か。松浦建二FPに直撃インタビュー

ライフネット生命は、2024年10月1日に、10年から保険期間を選択できる定期型の医療保険の提供を開始しました。医療保険といえば「終身型」、「定期型」の医療保険はあまり聞いたことがない、という方も多いのではないでしょうか。

今回、ファイナンシャルプランナー(CFP®、AFP)として20年以上にわたり幅広い年代の生活者に寄り添ってきた松浦建二氏に、定期医療保険について、そのメリットもデメリットも隠すことなく忖度なくお話いただきました。どのようにこの保険を利用すべきか、また、どのような点に気を付けるべきなのか。そして、なぜ終身型の保険が主流なのか、ということまで、 徹底して解説いただきます。医療保険にすでに入っている人も、これから検討したいという人も、どうかご一読ください。


何故いま、定期医療保険なのか?ライフネット生命の「若い世代を支えたい」という思い


医療保険といえば、「保障は一生涯」という広告をよくみるように、終身型の医療保険を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。それなのに、なぜ、ライフネット生命はあえて保険期間が短い定期型の医療保険を発売したのでしょう。

それは、20代、30代の若い世代にとって使いやすい保険であることを第一に考えたからです。20代、30代のうちはライフプランが変動しやすく、収入も安定しにくいため、保険料が負担になる場合が多い※のではないでしょうか。(※2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」)

その点、定期型の場合は、同じ条件の終身型と比べて加入時の保険料が安く抑えられるため、負担なく保障を確保することができます。また、保険料を抑えることができれば、浮いた分をNISAやiDeCoといった資産形成にお金を回すこともできるようになります。

そもそも、社会保険という公的保障がある日本においては、民間の保険に頼り切りになる必要はありません。ライフステージの変化に応じて保障の必要性を見直し、保障を増やしたり減らしたり、または民間の保険については無理に入り続けない選択をしたりして、定期的に見直す前提で民間の保険を活用しましょう。そうすることで、「今の生活」も大切にしながら、先々の保障を得ることもお金を増やすことも可能になるでしょう。

特に若い世代で、定期型の医療保険は無駄がない


―松浦先生、本日はよろしくお願いします。ライフネット生命は、保険期間が10年単位で選択できて、一定期間を保障する定期型の医療保険を発売しました。定期型の医療保険は、終身型と比べてどのようなメリットがあるか、改めて教えてください。

松浦:定期型の保険は、保障される期間が一定期間に限られるので、保険料が安いことが特長です。

なぜ安いのかというと、その年代のリスクに応じた保険料だからですね。無駄がないんです。定期型の保険は、例えば、20歳なら20代の、30歳なら30代の危険率に対応する保険料になっています(保険期間10年の場合)。若い人からみたら、そのときのリスクに応じた保険料で保障が得られるのが定期型のいい点です。

対して終身型の場合は、一生涯における危険率に対応する保険料が設定されています。つまり終身型の医療保険の場合でいうと、加入時の年齢が20歳だとしても50年、60年先の病気になるリスク等を踏まえて保険料が計算されるため、保険料が高くなります。

―終身型の保険は一生涯の保障があることをメリットとして伝えることも多いのですが、保障が必要かわからない先の分も、若いうちから保険料として支払っているんですね。

松浦:そうですね。また、更新を迎えるタイミングをちょっと強制的な「確認タイミング」とできるのが良いところだと思います。医療技術は常に進化していて保険商品も変わりますし、必要な保障も変わります。そのため、保険に加入したあと、そのまま何年も、何十年も保障内容を確認しないでいると、実際に保険を使用するときに保障が十分でないといったことが起こってしまうかもしれません。だから、加入後も時々保障を確認して、必要に応じて保険を見直すことが大切です。

―必要な保障が変わりやすい、結婚や住宅購入を控えた若い世代に活用しやすそうですね。

松浦:「気楽さ」もポイントの一つですよね。気楽というのは保険料がお手頃なので「ちょっと入っておこうかな」というハードルの低さがあるということと、一定期間の保険ですから、必要がなくなったら更新せずに解約すればいいというところ。家計を圧迫せずに一定期間は保障を得られるというところを、もっと気軽に活用したらいいと思います。

終身型の場合は名前にあるとおり、一生涯の保障だから「この保険料を一生払っていくのか」とか「一生この保険なんだ」と考えると気楽ではないですよね。 ライフプランに合わせて、そのときの一時的なニーズに合わせて入る、そういう使い方がいいですね。

独身の期間や住宅ローンの返済がある間に活用して、定期型ならではの使い勝手の良さを活かす


―「一時的なニーズに合わせて入る」というと、どのような方に定期医療保険がおすすめなのでしょうか。

松浦:例えば、独身の方。25歳くらいだとしたら、10年後は結婚しているかもしれないし、していないかもしれない。結婚して必要な保障が変わるのであれば、保険を変えてもいいし、やめずに更新したっていい。

結婚して保険をやめるケースも耳にしますが、理由の一つには、保険の内容がわからないからというものがあります。これから一緒に暮らしていくのに、パートナーからしてみたら、よくわからない保険に高額な保険料を払うのをやめてほしい、と感じる方もいるでしょう。結局必要な保障が変わって解約してしまうのなら、独身の間は定期型で一定期間の医療保障を確保するのがいいかもしれないですね。

他には、これから家を買って、住宅ローンを組む予定がある方ですね。ローンを組んでいる間だけ定期医療保険を契約して、保障を手厚くするという活用方法もあります。ローンを返済するプレッシャーがある中で、入院して貯蓄が減ると困ってしまうだろうから、その期間を定期医療保険で備えるのはいいですね。

団信(団体信用生命保険)は住宅ローン借入時に入る必要がありますが、民間の保険であれば加入時のタイミングに縛りはありません。定期医療保険なら加入のタイミングも解約のタイミングもご自身の必要に応じて決めることができるので使い勝手がいい。だからローンを抱えている人にも向いていると思います。

月々3,000円以下なら気楽に考えてみてもいい。ただし、更新時の保険料もきちんと確認を


―ライフネット生命は「保険料を半分にして、安心して子どもを産み育てられる社会にしたい」という思いで開業した会社です。定期医療保険は、若い世代はもちろんですが、できるだけ保険料を抑えたいと考えている子育て世代にも活用してほしいと思っています。

松浦:子育て世代にとって、医療保険は死亡保険の次くらいに備えて欲しい保障です。
万が一のときや病気になったときの保障を定期型で割安に備えられるのであれば、今は共働きの家庭も多くあるし、パートナーと2人で保険に入っても大きな負担にはならないでしょう。ネット保険ならではの安さや利便性を考えれば、定期医療保険の検討も進むのではないでしょうか。

―例えば 、ライフネット生命の定期医療保険「じぶんへの保険Z」であれば、契約年齢30歳で保険期間・保険料払込期間は10年、入院と手術に備えるエコノミーコースで、入院1日あたりの受取金額(入院給付金日額)を8,000円とした場合の保険料は、男性が1,224円/月、女性は2,040円/月となります。30歳のご夫婦で、それぞれ契約しても合計で3,264円/月と、保険料の家計への影響は同条件の終身型の保険と比較した場合抑えられそうですね。

松浦:大体一人あたり月3,000円くらいまでなら気軽に検討できますよね。個人的には、掛け捨ての保険はどんなに支払っても世帯あたり月2万円以下とアドバイスしています。これなら、がん保険など他の保障も検討できますね。

―逆に、定期医療保険を選択するにあたって、気を付けなければならない点はなんでしょうか。

松浦:一番は、病気にかかった場合に他の保険への見直しがしづらくなることでしょうか。終身型であれば、保障は一生涯続くためその心配はありません。

定期型は保険期間満了時に更新ができるけれど、知らない人もいるだろうし、更新できる年齢には上限があります。
※ライフネット生命の定期医療保険「じぶんへの保険Z」の場合は90歳まで更新が可能

厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」を見ると90歳まで生きる確率は女性で50%程度なので、長生きすると保障がなくなってしまうかもしれない。そのため、すでに終身型の医療保険に入っている人はわざわざ定期型に変える必要はありません。

―ライフプランが落ち着いて、貯蓄も増えてきたなど、ご自身の状況に合わせて最終的には終身型の医療保険に見直すと安心かもしれませんね。他に注意すべき点はありますか。

松浦:やはり、保険料が更新の度に上がっていくことは、嬉しいか嬉しくないかでいうと嬉しくないですね。
リスクに応じた保険料だからこそ、更新のタイミングで年齢を重ねるごとに、保険料が高くなる。その点はしっかりと理解した上で契約する必要があります。

また、取扱保険会社が少ないので他の商品と比較しづらいというデメリットもあります。

なぜ終身型の医療保険が主流なのか?


―確かに、保険の比較サイトなどを見ても定期医療保険は終身医療保険に比べて掲載数が少ないですね。
定期型の保険は保障に特化していることから、保険料も抑えられるし、見直しやすいので、もっと主流になってもいいと思うのですが、なぜ終身型が主流なのでしょうか。

松浦:長寿化が理由といえるのではないでしょうか。死ぬまで保障があるほうが、当然安心感が大きいですし。医療保険は高齢になってくると、病歴などにより入りづらくなりますから、長く生きていく前提であれば、若いうちに一生分の保障を確保しておきたいというニーズが生まれます。

定期型の医療保険だと、保険期間と保険料払込期間が同じになりますよね。最近は少なくなってきましたが、終身医療保険は保険料払込期間が60歳までなど、勤労収入がある期間に限られているものもあります。働いている間に保険料の支払いが終わることに魅力を感じる方もいるのだと思います。

定期型が少ないから終身型が売れるのか、一般消費者が終身型の保険がほしいから提供しているのか。ただ、終身医療保険が主流になっているのは、保険会社が終身型をたくさん出すからという面もあるかもしれませんね。

定期型の医療保険が増えてきて、比較しやすくなったら検討される機会も増えてくるのではないでしょうか。

―終身型の保険の中には、貯蓄機能をもった商品が数多くあると思います。実際、貯蓄型商品を選ぶ人は多いのでしょうか。

松浦:売れ筋でいうと、圧倒的に貯蓄系が多いですね。生命保険協会のデータを見と、年換算保険料(保有契約)で一番多いのが個人年金保険です。一方で、新契約件数でいうと医療保険が多いんです。需要が相当高いことがわかります。※生命保険協会「生命保険事業概況 2023年度」より

―当社は、保障は保険で、貯蓄・資産形成は自分で、というやり方が今後はよりあたり前になっていくようにしたいと思っています。一方で、貯蓄機能のある保険を選びたいという人は多いです。その部分を変えるのは難しいのでしょうか。

松浦:現状、貯蓄と保障を分ける人よりも保険を貯蓄として使っている人が多いと思います。そこは無理して分ける必要はなく、保険商品を使って貯蓄をしたい人は使えばいいのかなと。必要な保障にはちゃんと予算を確保するのが王道です。
これだけ世の中に民間の保険がいっぱいある中で、保険はいらないと強気に言える人はほとんどいないのではないでしょうか。必要な保険はちゃんと入るべきですよね。

何が必要な保障かは当然個人差があります。自分にとって必要な保険は何なのかをしっかり見極めてもらえるように、ライフネット生命さんには情報提供をしっかりしてもらいたいですね。必要性がわかれば、迷わずに必要な保険を選べますから。

―「あの人がこういったから」「あの人がこんな保険に入っているから」ではなく、ご自身にとって必要な保障を選んでいただくことが大切ですね。松浦先生、本日はありがとうございました。


ライフネット生命は保障と貯蓄は分けて保険は保障に特化して保険料を抑え、その分はNISAやiDeCoなどの投資に使ってもいいし、ご自身が幸せになるために使ってほしいと考えています。

ご自身にとって必要な保障は、常に変化していきます。保険は見直すことを前提に、「定期型」の保険を活用して自分にとっての必要十分な保険を見つけてくださいね。

※保険料は2024年10月1日時点の保険料率で計算しています。
※保険料は年齢や性別、保障内容によって異なります。商品の詳細はライフネット生命ウェブサイトをご確認ください 。
※ご契約には審査があります。審査の結果、お引き受けできない場合があります。
※乗換による解約はお客さまの不利益になる場合がありますので、保険の見直しにあたってはご注意ください。

<プロフィール>
松浦 建二(ファイナンシャルプランナー)
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティングを経験。その後、コンサルティング会社設立に参加。 2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険見直し、住宅購入サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等を行っている。青山学院大学非常勤講師。日本FP協会広報センター相談員(2007~2008年)。 FP(日本FP協会公認スタディグループ「SG月島」代表)や金融機関勤務(青山学院金融青山会副会長)の方と定期的に集まり、最新情報の交換や知識の習得なども実施。

取材・文/ライフネット生命公式note編集部
撮影/村上悦子

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