転職先の会社から「年金手帳を持ってきて」と言われたけれど、手帳がない?! どうする?
社会保険労務士(社労士)でもあるファイナンシャル・プランナーの中村薫先生が教えてくれる「だれも教えてくれなかった社会保障」シリーズです。今回は、“どこにしまったのかわからなくなるものランキング”があるとしたら、必ず上位にくるであろう年金手帳(または基礎年金番号通知書。以下、手帳、もしくは年金手帳)について。みなさん、ご自身の年金手帳、どこにあるかパッと思い出せますか?
どうしよう、なくしたかも!? と思っても大丈夫。ひとまず、中村先生のアドバイスを読んで落ち着きましょう。
手帳がなくても解決する場合
就職にまつわる手続きはいろいろありますが、「年金手帳を持ってきて」と言われることがあります。通常、会社員は健康保険や厚生年金保険に入りますから、会社が加入手続きをするのに「基礎年金番号」というものが必要になるからです。
ただ、探してもどうしても手帳が見当たらないこともあるでしょう。そんなときは、入社予定の会社にちょっと確認してください。実はあんがい「手帳」そのものがなくても解決できるのです。
会社への確認事項は以下の2つ。
(1) 基礎年金番号がわかればOK
(2) 代わりにマイナンバーでもOK
この2つのどちらかでOKなら「手帳」が無くても解決できます。
「基礎年金番号がわかればOK」なら手段は3つ
[方法1]マイナンバー
雇用保険などに加入するのにマイナンバーが必要ですし、会社の担当者から「健康保険や厚生年金保険もマイナンバーでOKです」と言われたら、マイナンバーカードや通知カードを持参すれば解決です。マイナンバーは大事な番号ですから、扱いは注意してくださいね。
次に「基礎年金番号がわかれば手帳がなくても良いですよ」と言われた場合は以下のどちらかで調べられます。
[方法2]ねんきんネット
「ねんきんネット」にアクセスしたことがある人は、「ねんきんネット」から自分の基礎年金番号を確認しましょう。必要に応じてメモをしたり、提出書類に記入をしたりして会社に提出してください。サイトの一部を印刷するなどして、担当者に「これです」と見せたほうが良いかもしれないので、印刷が必要か聞いておくと良いでしょう。
スマホでアクセスするなら、担当者の前でアクセスして、基礎年金番号が乗っている画面をそのまま見せるのも一つですね。
[方法3]年金事務所などに行く
少し手間ですが、住所地の役所の国民年金課や年金事務所などに直接出向いて番号を調べて教えてもらう方法もあります。
免許証などの本人確認ができるものを持参すると調べてもらえますし、番号がわかる印刷物ももらえます(手帳ではなく、言ってみればただの紙なんですけどね)。
ただし、基本的には平日しか開いていないので、もし家族などに代わりに行ってもらう場合は「委任状」を書いて、自分の免許証などの写しとともに代理の人に持参してもらう必要があるので、必要書類の確認も忘れずに。
委任状は、日本年金機構のサイトからPDFファイルをダウンロードして印刷することで入手できます。
ねんきん定期便があれば合わせて持参すると、少しの時間短縮になります。また、希望すればねんきん定期便の見方の説明も聞けて、ちょっとカシコクなれるかもしれませんよ。
なお、今はねんきん定期便には基礎年金番号が書かれていないので、ねんきん定期便に書かれている照会番号を基礎年金番号と勘違いしないように気をつけてください。(平成28年度までの「ねんきん定期便」(平成28年4月から平成29年3月送付分)には基礎年金番号が記載されています)
最短で再交付するなら年金事務所
こうしてみると、今は年金手帳がなくても用が済むケースが多いのですが、それでもやはり手帳を手元に持っておきたい人は再交付という手段があります。
なお、2022年4月からは年金手帳が廃止され、「基礎年金番号通知書」が発行されるようになりました。年金手帳をお持ちの方は引き続きそちらを保管する必要がありますが、もしも紛失した場合で、「紙で保存しておきたい」という希望がある人は基礎年番号通知書を発行してもらうことになります。
年金事務所で再交付申請をするか、電子申請または郵送申請をすると、通常、申請から2週間~1ヶ月程度で自宅に郵送されます。夫の扶養に入っている妻など(第三号被保険者)は、年金事務所ではなく夫の会社の方から再交付申請する必要があります。
また、どーーーしても手帳のような紙に書かれたものが必要で、しかも今日や明日などスグに欲しい場合、最短で再交付してもらえる可能性があるのは年金事務所に直接出向くことです。再交付の申請は、基本的に電子または郵送申請ですが、緊急性が高いときには窓口での申請も可能です。事情を丁寧に説明して「どうにかこの場でもらえないか?」と聞いてみてくださいね。
書類の提出先などは日本年金機構のサイトや年金事務所等へ連絡し、確認してから出向くことをおすすめします。
※役所の担当課・係などは各自治体で名称が異なる場合がありますので事前に確認してください。
※日本年金機構ホームページ(ここから「ねんきんネット」にもアクセスできます)
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<クレジット>
文/中村薫