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コミュニケーションが生まれるオフィスを作るには? プロジェクトマネージャーが語る初めてのオフィス移転ストーリー
2024年11月、ライフネット生命は新オフィスへ移転しました。社員数200名程の、まだまだこれから大きくなっていくであろう「雑居ビルの小さな生命保険会社」が、リモートワークの仕組みを持ちつつも対面コミュニケーションを円滑に行うためのオフィス移転をなぜ行ったのか? そのプロジェクトの発起と着地を見届けてきた社員からのオフィス移転レポートをお送りします!
はじめに
人事総務部の山内と申します。今回、幸運にも当社の初めてのオフィス移転プロジェクトマネージャーを担当させていただきました。プロジェクトを通じて私自身が感じたことや考えたことをブログにしました。
この記事を読んでいただいた誰かの参考になればいいなと願っています。
オフィス移転の話を初めて聞いて、なぜ新オフィスが必要なのか考えたときの話
私にオフィス移転のプロジェクトマネージャーをやってほしいという話が来たのは2023年の秋頃でした。2025年に入った今、社会情勢的にもオフィス回帰の記事を頻繁に見るようになったなと思いますが、その年もGAFAMのオフィス回帰が特に大きな話題になっていました。
そのとき感じたのは、「確かに、会社がさらに成長するにはオフィスでのコミュニケーションも必要だよなぁ。でも、まだまだリモートワークの需要はあるだろうし、社員は納得してくれるのかな」ということでした。
というのも、その頃は私自身のチームはリモートワーク中心で、初対面から対面で会うこともなく、人となりを知らない状態でも一緒に働くこと(働けること)が当たり前になっていました。そして、マネージャーとしての立場で、リモートならではのコミュニケーションのすれ違いがチーム内で起こっていることも目につくようになってきていました。
そんな中、ふと一度チームの出社日を作ってレクリエーションをしてみるとチームメンバーの反応も良く、それから出社日を定期的に設けるようになりました。一方で、一体感が戻ってくる手応えを感じつつも、個人的にはリモートワークの良さも手放せないなと迷いもありました。
それから、プロジェクトのオーナーである片田さんのnoteのとおり、移転の目的も聞いて、どうして新しいオフィスを構えて社員に出社してもらいたいのかということを考えました。そこから、自分が前述のような経験をしていたことから、「人と人のコミュニケーションは、言語情報だけでは伝わりきらず、非言語(表情など)や五感をフル活用できたときに、通じやすさが最大化されるもの(逆に考えるとそれでもうまくいかないことがあるぐらい)。だから、そうした場に集まってコミュニケーションできる組織とそうじゃない組織とでは、成長度合いに違いが出るかもしれない」という仮説をもつようになりました。
こうした思考の過程で、社会情勢に関係なく今のタイミングで、新オフィスへの移転を実現する必要があるのだと自分ごと化できたのでした。
プロジェクトを組成し、オフィスに対する要望を各部門からヒアリングしたときの話
オフィスという「場」やコミュニケーションの「機会」を作るうえでは、社員に少しでも「オフィスに来たい!」と感じてもらう必要があります。そのため、オフィス移転のキッカケはトップダウンであったとしても、オフィス作りは、ボトムアップで「自分たちが働きたいオフィスには◯◯が必要」という考えを大切にすることにしました。
全部門のプロジェクトメンバーに各部の意見を取りまとめてもらい、一緒になって考える中で印象的だったのは、以下のような要望です。
・インサイダー情報を取り扱う際などに、PC画面の背後を取られない席
・会議室でなくても、気軽にミーティングができるスペース
・リモートワークのように、集中できる席
・カフェのような雰囲気
これ以外にもさまざまな要望が出る中で、プロジェクトメンバーとコミュニケーションを重ねて要望を取り入れられるかどうかの取捨選択をしました。こうした取り組みを、会社全体を巻き込んで行った結果、少しずつ「新オフィスが楽しみになってきました」という声もかけてもらえるようになり、会社全体の移転に対する期待が高まっていることを嬉しく感じていました。
オフィスデザイナーとの対話を重ねて、新オフィスの解像度がぐっと高まった話
プロジェクトメンバーや事務局からの膨大な要望を集め終わった頃のことです。鼻息の荒い私たちに、「ライフネット生命らしさが、しっかりありますね」とオフィスのデザイナーさんが笑いながらおっしゃったのが印象的でした。
そして、スケジュールが厳しい中、なんと最初に考えていただいたデザイン案を白紙にして、要望を取り入れた新デザインを提案してくださったのです。それと同時に「ライフネット生命にとって一番思い入れがあるサマルカンド(コミュニケーションスペースの名称)は、こんな感じで考えてみましたがどうですか」と提示されたのがこのイメージ図でした。
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それと同時に、「この風景は社員が出社してドアを開けたときの風景で、1日がサマルカンドで始まり、近くに一元的に配置したロッカーやワードローブで身支度をしながら偶発的に会った社員と何気ない会話をして、それぞれの執務エリアに移動していく働き方をイメージしています」と添えてくれました。
その瞬間、新オフィスで働いている自分の解像度がぐっと高まって、「早く完成してほしい」「ここで働いてみたい」と私たちの熱量が上がったことは言わずもがな、デザイナーさんが当社に対して思い入れを持ってくださっているんだなと嬉しく感じました。
そのとき、このプロジェクトの定例の会議室を包む全員の熱い雰囲気や空気感が、人同士の熱量が伝わりやすいというか……言語化するのは難しいのですが「これが対面でコミュニケーションする醍醐味なんだよな」とオフィスの重要性をより感じるようになったのを覚えています。
働きたくなるオフィスを目指して設計していたはずが、平凡なオフィス設計になりかけた話
大まかなレイアウトやデザインが決まったあとは、執務室にどういった家具を配置するかや、何をするスペースを作るかを設計していきました。
しかし、席数やキャビネットなど、働くうえで当たり前に必要な家具を選ぶ際に実用性を優先してしまい、普通のデスクが整然と並ぶ保守的な設計になってしまっていることに気が付きました。
そこで、家具メーカーのショールームをプロジェクトメンバーの有志で見学させてもらい、どんな家具があったら楽しく働けそうかということをディスカッションしました。
その結果、
・立ってでも、座ってでも使える「ハイデスク&ハイチェア」
・不安定な椅子に座ることでミーティングの効率化が進みそうな「ハイデスク&バランスボール風チェア」
・少しおこもり感があり、ソファ座面が高くなっている「ミーティング用デスク&ソファ」
の導入をすることが決まりました。
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「家具は多様性をもたせたほうが、見た目にリズム感がでて、遊び心ある楽しいオフィスになる」とデザイナーさんからも最後の一押しをしていただいて、本当に良かったと思っています。移転後の様子を見ると確かに、社員それぞれお気に入りのワークスペースで働いているようです。
オフィス設計の最後のピースはアートだった話
家具の次に出てきた問題は、コンセプトどおりに壁を最小限にしているとはいえ、壁の面積が広く白の壁面が目立つこと。そこでデザイナーさんから出てきた提案は、アートの導入でした。アートに意味合いを持たせておくことによって、社員のオフィスへの愛着も湧くのではとの提案をいただきました。
当社ならではのアートを考えるうえでは、全社を巻き込んだアンケートを行い、意見を集めました。当社の社員はマニフェストへの共感度が高いという特長もあり、マニフェストにちなんだアートを導入することになりました。以下のアートは「正直に」というマニフェストの一節を、抽象的に「太陽や光、水(明るく曇りのない様子)」と表現したものです。
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アートに無縁だった私は、完成して実際に見るまで必要性を感じられていませんでした。しかし、今は手のひらを返して、すべてのオフィス移転プロジェクト関係者にアートの導入をおすすめしたいと思っています。何よりもオフィスに彩りがでますし、「なんでこういったアートがあるの?」というコミュニケーションや、存在意義を再度意識するキッカケになっていくと感じています。
完成した新オフィスに引っ越してみて、感じていること
こうして、チームそれぞれの立ち位置でさまざまなトラブルがありながらも乗り越え、私たちは無事移転することができたのでした。
この新オフィスには、設計の細部に私たちの思い入れが詰まっています。私も、設計の意図どおりに働いている姿を見たときや、にぎやかに談笑している音が聞こえてくると、嬉しくなってついニヤニヤしてしまいます。
移転してはや2ヶ月が経った今、前述のことはすべてやってよかったなと感じています。それ以外でもやってよかったと感じた3つのことをTIPSとしてシェアします。
● 1分間程度の待ち時間ができる場所をいたるところに作ることが、偶発的なコミュニケーションを生むキッカケになる。(例えば、電子レンジで昼食を温める間なら待てる人、オフィス向け置き菓子サービスで何を買うか迷っている人などを想定)
● にぎやかなオフィスにしたい場合は、全体に緩やかにジャズ等の音楽をかけておくと、静かな時に喋り出しづらい雰囲気を緩和できる。
● 人が集まる場所には、オーディオビジュアル設備をきちんと導入したほうが、社内イベントがより行われるようになり、カルチャー醸成が進みやすくなる。
一方で、実際に使ってみて見えてきた課題もさまざまあり、今後もこのオフィスをバージョンアップし続けて行きたいなと考えています。
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さいごに
オフィス移転プロジェクトは、移転をすることがゴールなのではなく、私たちがより組織力を高めて、お客さまにより良いサービスを提供できるようになることがゴールなのだと感じています。これからもサグラダ・ファミリアのように、良い意味でいつまでも完成しないオフィスや私たちの働き方のあり方を、常に社員全員で模索したいなと考えています。その結果、社員が皆「人生の1ページをライフネット生命で働いて過ごせてよかった」と思える会社を目指したいです。
最後に、プロジェクトメンバーや社員の方々に、初めての経験で不慣れなマネジメントで迷惑をおかけしました。この場を借りてお詫びをしたい思いです。そんな中、それぞれの役割を超えながら責任を果たしてもらえたことに感謝しています。このプロジェクトは私がマネジメントしたというよりは、関係してくださったそれぞれの思い入れによって、無事オープンを迎えられたのだと思います。
読者のみなさま、このブログを通して私たちのオフィス移転の旅に同行していただき、ありがとうございました。私たちの経験が何らかのヒントになることを願ってこのブログを終わりにしたいと思います。
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人事総務部
山内
▼社員やライフネット生命のこと、コツコツお伝えしていきます!
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BRD-218
保険検討から申し込み・給付金請求もライフネット生命アプリから!
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※本アプリは、スマートフォンをご利用される方が対象のアプリです。PCではご利用いただけません。
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